日本人の性質

日本人の性質として現在よく言われているのもとしては以下のものがあげられます。
①勤勉
これは、よくニュースなどでも取り上げられていますが、日本人は非常に勤勉と言われています。そのため、社会問題にもなっていますが、仕事のし過ぎで過労死したり、仕事のストレスから自殺をしてしまうということが世界的に見ても多いです。
それは、勤勉で責任感が強いため、自身のキャパシティを超えても、仕事を辞するという選択があまりできないためです。
②礼儀やマナーを重んじる
あいさつをしない人や列に並ばず横入りする人など礼儀やマナーを守らない人は嫌われます。
また、それは言葉にも表れています。
それが顕著に表れれているのは、「トイレ」です。これもタイミングや一緒にいる人、話し手などで言葉が様々に変化します。例えば、「お手洗い」や「化粧室」、「お花を摘む」などから「便所」や「厠」まで多種多様な使い方をします。
それ以外にも、冠婚葬祭のマナーを間違えると恥をかくとしてそれらを学ぶための啓発本やマナー講座なども多々あります。
③恥ずかしがり屋
日本人は、恥ずかしがり屋なきらいがあります。そのため、目立ったり他の人と違うことを嫌います。
そのため、学校や会社において何かの役割を立候補する人は少なく思います。
また、近年では「草食系男子」と呼ばれる恋愛において受け身で告白等ができない男性も増えています。
④繊細
日本人は、繊細で些細なことでも傷ついてしまいます。
これは、日本語でのやり取りでも見られます。
例えば、2人の人物がいて1人が相手を食事に誘う場合のやり取りを想定した場合、

A「Bさん、今晩、一緒に食事に行きませんか?」
これに対する回答として
B「無理です。行きたくないです。」

などと言ってしまうと誘い手の方は自身を否定されたとして落ち込んでしまいます。
そのため、このような場合は

B「すみません。今晩はちょっと・・・。」

のように濁した回答をしなければなりません。
同様にLINEなどのSNSのアカウントを聞かれて教えたくない場合も「教えたくありません」ではなく「そのSNSしてません」や「そのSNSのアカウントを持ってません」のように、たとえそのSNSのアカウントを持っていても嘘をついてでも相手を傷つけないように答えます。
⑤協調性を重んじる
日本の教育では、幼いころから「みんなで仲良くしましょう」「今から、みんなで~をします」など全員で何かをすることを教育されます。
この「みんなで」は呪いのように付きまとい、逆に1人でいることに対して「ボッチ」や「陰キャ」のような悪いものであるかのように扱います。
また、SNSでもフォロワー数が多いことがステータスの一部にもなっています。
もちろん、周囲と協力することで、1人では達成できないものも達成できるので、協調性があることは素晴らしいことです。
ただ、日本人は、過度に協調性を求めすぎているように思います。近年では、小中学校の運動会において競技で順位をつけることを禁じて、全員が同じタイミングでゴールして全員を一位にするという学校もあるそうです。

なぜこのような性質があるか?

日本が島国であることが関係していることも一因であると思います。
前回の日本人の定義でも述べたように日本には3つの民族います。その中で現在最も多い民族はヤマト民族です。

人が生活をしていくためには、水が必要です。また、ヤマト民族は農耕民族のため稲作に適した土地も土質のいい平地に住まなければなりません。
そのため、必然的に生活できる場所が限られてきます。
島国であり、生活できる場所が限られているということは、コミュニティを形成して生活をしなければならないということです。

このコミュニティとはいわゆる村や集落です。このコミュニティはこの狭い島国では、数が少なく協力をしなければ生き残ることができませんでした。そして、生き残るためには各々の役割を果たすことが重要でその役割は基本的に配置換えなどはなく、その家単位で決められていました。そのため、このコミュニティは自分に合わないからと抜けることはできず、コミュニティを抜けたとしても他のコミュニティでは、既にみんな自分の役割を持っているためよそ者が入り込む余地はありません。
つまり、一生与えられた役割を全うしなければならない状況でした。
そこで必要となるのは、上質な人間関係です。上質な人間関係を築けなければ村八分などによりコミュニティ内で生きていけず死の可能性もありました。
そのため、相手を尊重するために礼儀やマナーを重んじたり、自身の言動で相手が気を悪くしていないかを気にしたりします。さらに目立ったりせずに自身の役割を失うことを恐れ必要以上に頑張ります。

外国人からの評価

ここでは、外国人から見た日本人の評価を紹介していきます。
①イザベラ・バード(1831-1904)
Isabella_Bird

イギリスの旅行家、探検家、紀行作家、写真と多くの顔を持つ女性です。
彼女は、1878年に日本を訪れ、『日本奥地紀行』を執筆しました。
それによると、日本について以下のように書いています。

私はそれから奥地や蝦夷を1200マイルに渡って旅をしたが、まったく安全でしかも心配もなかった。世界中で日本ほど婦人が危険にも無作法な目にもあわず、まったく安全に旅行できる国はないと信じている。

このように女性が一人で旅ができるほど、安全な国と紹介しています。
ただ、他方で

日本人は、西洋の服装をすると、とても小さく見える。どの服も合わない。日本人のみじめな体格、凹んだ胸部、がにまた足という国民的欠陥をいっそうひどくさせるだけである。

日本人の黄色い皮膚、馬のような固い髪、弱弱しい瞼、細長い眼、尻下がりの眉毛、平べったい鼻、凹んだ胸、蒙古系の頬が出た顔形、ちっぽけな体格、男たちのよろよろした歩きつき、女たちのよちよちした歩きぶりなど、一般に日本人の姿を見て感じるのは堕落しているという印象である。
などという辛辣なコメントもしています。
②ルース・ベネディクト(1887-1948)
Ruth_Benedict

アメリカの文化人類学者です。
1946年戦時中の日本を調査し「菊と刀」を執筆しました。
この中で日本固有の考え方である「義理と人情」について紹介しています。
現在では、ヤクザ映画の中でしか聞かないような「親分」と「子分」の関係について「親分」は字の如く親の代わりであり、子分を自分の子どもと同じように接する文化を紹介しています。
また、罪を犯した場合の対応の違いにも言及していて、西洋では罪に対してはそれ相応の「罰」を与えてますが、日本においては罪に対して「」を与えると言っています。
この恥とは、本人だけではなくその家族やコミュニティにまで及ぶます。例えば、ある人が罪を犯した場合、他の人々はその家族に対しても「ほら、あの人、このまえ~をした人の親だよ」や「あんなことしてよく、外に出られるね」など恥をかかせることがあります。

まとめ
・日本人は、他人と協力することを大切にする
・日本の島国であるため日本人を協調性を重んじる性質にした
・海外からも興味を持たれている

また、学校の授業のような硬い文章になってしまいました😞

完訳 日本奥地紀行 1 (東洋文庫0819)
イサベラ・バード
平凡社
2020-06-30

菊と刀 (講談社学術文庫)
ルース・ベネディクト
講談社
2005-05-11


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